敬愛する諸兄姉・諸先輩の皆様、大脇です。
猛暑の続いたこの夏もようやく過ぎて、秋風を感じるこの頃ですが、皆様お変わりございませんでしょうか?

小生が知的ボランティア活動を続けて10余年、未来構想のシンクタンクから、市民国連、地球市民のグローバルな市民運動、そして最近では、社会貢献型のボランティア・ビジネスへ移行していることは、10年間の総括で昨年報告した通りです。「日本の未来構想(下)」

本年は近隣諸国との間に如何に平和の橋を架けるか、原発、憲法、増税問題で揺れる国内において、国民的コンセンサスを如何に構築するかに腐心しています。

テーマが大きいだけに、浮かんだアイディアを論文化するには、エネルギーが足りず、身近かな後輩には気軽に発信していますが、1千を超す碩学の多いe-miraiのグループへの発信は、敷居が高く、つい身構えして、先送りとなり、結果として、皆様へはご無沙汰がちなっております。今日も纏まった形での発信ではありませんが、「皆様とともに日本の未来構想を考えたい」と蛮勇をふるって投稿いたします。箇条書き、乱筆、乱文であることをお許しください。皆様の叡智を引き出す呼び水となれば、光栄これに優ることはありません。

昨日9月8日、5時20分過ぎ、2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定しました。日本人は感極まって抱き合う人、喜びで涙で言葉を詰まらせる人、最近で、これほど国民が1つになった例を見たことがありません。

このオリンピック東京開催は、単に経済の復興、スポーツの振興、環境整備に留まることなく、東北震災復興に弾みをつけるであろうことが既に報道されている通りです。小生はここに人類史上始めて、日本が世界文明史に貢献できる最大最後のチャンスが来たと痛感し、筆をとっている次第です。

隣国や与・野党の不毛の渦中にあって、私達は、視点を未来に置き、イデオロギー・党派、利害、国境を越えてコンセンサス作りに努めてまいりました。その都度のフォーラムに寄せられた叡智は、毎回、ブロードバンド、DVD,また文章として蓄積して参りました。「塵も積もれば山となる」ように、この10数年に蓄積した内容は、日本の歴史的知的遺産として残るほどのものとなりつつあり、感慨深いものがあります。

お互に相手を非難・攻撃しても得るものは何もなく、戦後の荒廃した焼土が残るのみです。身近な例では、東北震災に各国から義捐金です。当初、韓国からは400億円と報道されてていましたが、日韓関係に関するマスコミの過剰な報道の悪影響で、6億円でした。同じ隣国の台湾からは、200億円を超す義年金であったことは、如何に国民感情が社会に影響を及ぼすかの良き事例と言えましょう。

「意見のことなる両者の間にコンセンサス形成は可能か?」この手法については、ディベード、KJ法、PD法等の方法論、M. サンデル教授や井関利明氏らの名司会者にお世話になって来ました。最近の例をお知らせしたい。

アジア平和貢献センターに西原春夫氏は、早稲田の総長と慶應の塾長の例を挙げ述べている。「早慶というのは永久のライバルです。競い合って互いに発展を続けるというのは、大変良いことですが、早稲田の総長と慶應の塾長が喧嘩し出して、周りが迷惑したときどうするか。共通分母をつくる。しかも、慶應、早稲田の本質を失わないでつくる。それは何か。“私学”です。仮想敵をつくる。たとえば国立大学という敵をつくって、私学とし一致団結してそれにあたる。ところが今度は、 国立大学と私学が対立して困るということになったらどうするか。
日本の“大学”という共通分母さえ広げればよい。早稲田の総長、慶應の塾長、 東大の総長、京大の総長が一緒になって、仮想敵は文部省だと。もっと財政を大きくしろと。・・・“勝敗超克”の思想と方法を日本は、はっきっりさせるべきだと私は思います。」

この方法は150年程前、坂本竜馬が使った方法である。犬猿の仲の薩長を倒幕で結び、返す刀で、佐幕派をも巻き込み、大政奉還をさせ、歴史上稀に見る無血 革命を実現しました。このお蔭で日本は西欧の帝国主義勢力に呑まれることなく、いち早く近代化を成し遂げることができました。

小生は半生を東アジアの平和構築に捧げている某社長の依頼に答えて平和構築のニューパラダイムを提案したことがある。時間がゆるせば、さらに敷衍して公開したいと思っている。その3つの内の1つは、意見の対立する両者が、自説を置いて、共存共栄共義の夢を描くことである。坂中英徳氏の「移民国家日本の構想」もその1つと言えよう。「靖国問題の普遍性を問う」夢は大きいほどほど良い。第69回未来構想フォーラム(創立7周年)にある詩人が、中学生の詩「夢をください」を紹介してくれた。夢は希望、生きがい、生きる力を源泉です。

小生はオリンピックこそ、日本人を団結させ、アジアを1つにし、世界を一つにし、過去・現在・未来に渡る歴史的人類を一つにする“どでかい夢”、平和事業だと痛感しています。

この日のために日本民族の歴史があったと後世の人々から評価されるかも知れません。
それは行きづまり来たった西欧近代文明を東洋の新しい視点から救済し、共に生きて行こうする共生・共栄・共義の“和”(Great Harmony )の新文明時代の黎明を告げる大事業であるからです。 日本の堅実なマネージメント能力が評価されて、日本はかろうじてオリンピック誘致合戦に勝利しました。しかし、イスタンブールの“東西の架け橋”というコンセプトは日本よりも高く評価されました。

小生は東京オリンピックを単なる国威発揚に終わらせべきではないと思います。
他国の長所にも学び、東京オリンピックの理念が、万民の心に共感と感動を呼ぶような高邁な、普遍性のあるものであることを祈念しています。安倍首相も「長年の縮み思考から脱却して、元気村日本を!」と政府も後押しするとおっしゃっていました。猪瀬知事がおっしゃる「Discover Japan, 新しい未来をお見せ」くださることを期待しています。

日本国憲法は平和を謳っています。今までの「戦争はしません、戦力は持ちません、核兵器は持ちません、もちこません」との「消極的平和国家理念」から「積極的平和貢献理念」にむけて総力をあげてやるべきときだ」との西原総長のご意見に全面的に賛成です。小生も日本の起死回生策の1つとして「国際ボランティア政策を国策に」と提言して来ました。「日本の教育界の危機と未来構想」

生涯、歴史を文明史という視点から研究したA.トインビーの発言は我々に貴重な示唆をしてくれている。

歴史上、21から26の文明圏が認められる。文明は宗教を中心として発達した。
高等宗教は低俗宗教を吸収し、4大文明圏に、今や1つの文明圏に糾合されつつあるように見える。ここでいう高等・低俗宗教とは、価値観の普遍性を言っている。現代は高等宗教が形骸化し、3つの低俗宗教(英雄崇拝:復古主義、現実崇拝:科学信仰、未来崇拝:社会共産主義)が蔓延し、過去、現在、未来への逃避に終わっている。現代の挑戦に対する最も望ましい応戦は、第4の型の{変貌:自己変革}であるとも言っている。またトインビーは、国連が失敗するであろうことを予言している。「それは、国連そのものは、世界のそれぞれの国の人民とは直接つながっておらず、各国政府を通じてつながっている。人民に直接つながる世界機構が必要だからである」と指摘している。

オリンピックは、人間賛歌、国家の素晴らしさを誇り、讃えるばかりで終わってはならない。2020年、東京オリンピックは成功如何は、我々日本人が世界の平和のために何が成せるか、一丸となって、世界からのゲストを接待し、見事な運営を成した後、世界の人々の心に中に感謝と感動の土壌が造成され、日本人の世界に誇る文化的伝統、 “和の心”、平和の種がしっかりと根ざすことでなはかろうか。

東京オリンピックが、日本的奥ゆかしさのあふれた、人類の悲願であった恒久平和の実現のエポック・メーキングな平和事業になることを期待してやまない。

2013年9月9日 記
大脇 準一郎 拝