カッセイ工法による森の蘇生実験
期間 2010年10月10日 〜 2013年10月10日
酸性雨と森林被害との「因果関係」:
18世紀後半、英国で始まった「産業革命」は、怒涛のように、瞬く間にヨーロッパ各地を
飲みつくし、これらの産業を支える原動力として石炭が多量に使用された。それと同時に、ヨー
ロッパ各地の工場から吐き出される煙は、偏西風の風下に当たるドイツの誇る「黒い森」と称
された美林の木々が枯れるなど、甚大な被害を引き起こした。 こうして、ヨーロッパでは、
産業革命を前後したこのような実情を目の当たりにして、酸性雨と森林資源の荒廃との因果関
係が、いち早く認識されるようになった。
日本の実情分析:
日本においては、政府主導の戦後の産業復興政策のおかげで、企業は大躍進を遂げた。それ
に伴い、煤煙、スモッグ、公害病等の日常生活に関係した産業公害が、声高らかに叫ばれはじ
めた。 そして、「車社会の到来」と共にもたらされた「排気ガス」による生活密着型の「街
路樹被害」は、広く世間の口に上るようになったが、「森林問題」が全国的な「巷の話題」に
なったのは、そう古い話ではない。 「森林被害」に対しては、「横断歩道、みんなで渡れば
怖くない」といわれるように、地域ごとの問題に関しては、企業城下町的な関係もあり、企業
責任を問うにはばかる状況もあって、その陰に隠れて、「森林被害」に目が向けられることは
あっても、はかばかしい進展は望めなかった。そして、巷の「世論形成」に時間がかかってし
まった。 かような状況の中で、「松枯れ」の問題が、「インフルエンザ」のように、瞬く間
に、全国展開?してしまい、「松枯れの原因は、松くい虫にあり」との「お偉い先生」方の
「鶴の一声」で、薬剤の空中散布策が全国展開されてしまい、酸性雨問題が、かき消されてき
たのが現状である。 酸性雨被害の考察: 大気中の公害物質で影響力の大きい、NOx、S
Ox等は、空気中の水分に触れ、希薄強酸性水溶液となり、夜霧、雨や雪などによって、植物
の葉や幹を伝い、直接、間接に、大地に到達して、土の中の金属類と化学反応を起こし、無害
であったものが有害物質として目覚めさせられる現象が、顕著になってきた。その例として、
「植物毒」と呼ばれるアルミ化合物を形成し、ごく薄いアルミニウム膜や不溶化態リン酸を作
り出し、植物の成長阻害をもたらすようになる。ごく微量ではあるが、猛毒の砒素等の重金属
誘発の被害も報告され始めている。 一方、強酸性生体反応物質として、微生物や胞子状の
「ミクロ」の生き物の世界にも影響が出始めている。「根っこ」と「大地」とを取り持つ「根
粒菌」や「水生」の生き物の食料と成る「植物プランクトン」、「動物プランクトン」、特に
卵からの生き物の孵化直後に、最初に口にする「わむし」への影響も懸念されている。
なぜ「お山のてっぺん」からなのか?
大気汚染物質の風雨の被害は、「お山のてっぺん」より上では起こらないから、これ以上の
「スローガン」は、ありません。 今や山林は、山奥の乱脈な開発、森林放棄などの末、か
ような環境さえも壊され、山の生き物が、「里」を俳諧するようになってきた。
このことは、「森の住人」たちの「食料事情」が、深刻さを増していることを意味している。
植林から始める山は、木の葉が茂り、木の実を付け始めるには、長い年月がかかる。その間、
大小の「森の住人」たちは、どうして暮らすのか? 山の手入れのための伐採と共に、木々を
生き残らせることは、生命の共存による、「人間の優しさ」への目覚めでもある。
「おひさま にこにこ プロジェクト」は、「見てわかる」実験を金井の森林公園で行うことにした。
おひさま にこにこ プロジェクト 世話人 川久保 祐一
〒952-1213 佐渡市 平清水45 Tel: 0259-63-3535 Mobile: 090-4815-3171
E-mail: david_kawaks @ hotmail.co.jp
きれいな田んぼ 山椒魚の卵
佐 渡 の 環 境 保 全 に 寄 せ て
「お山のてっぺん」から「海の中」まで蘇生させよう!
「村の鎮守の神様の今日はめでたい御祭日・・・」と、天地の恵みに感謝し
て暮らしていたのは、いつごろまでだったでしょうか?
その頃の農業は、人間や動物の排泄物さえも、「醗酵・熟成」させ、堆肥とすることによっ
て、「食物連鎖」の最下位の微生物群、植物、動物、家畜、そして最上位の人間が、「共存・
共栄」できるような関係を築き、現代風に言う、「ゼロ・エミッション循環型」社会を形成し
ていました。
いつの頃からか、食べるための農業から、儲けるための農業へと変化し、収穫量を上げるこ
とを掲げ、労働力の集約化を図る機械化と共に、「天地の恵み」を忘れ始めました。 林業も
安い外材が入るようになり、「金にならない」と、山の手入れが放棄され始めました。漁業も
産業の細分化により、山や里との関係が薄れてしまっています。
それと共に、「微生物」たちの世界にも異変が生じてきました。 スモッグや排気ガスなど
の公害物質が、佐渡の大地を「強酸性化」土壌に変えつつあり、化学肥料、農薬、除草剤、界
面活性剤などの産業・家庭排水等により、植物本来の活力が衰え、「活性酸素(フリー・ラジ
カル)」物資を生活圏に蓄積させつつ、結果的に「水」を通じて、「高いところから低いとこ
ろ」の終着地の海へと向かい、自然界の微妙な均衡が崩れ始め、「悪玉菌」優勢の自然環境に
なっています。 佐渡では、世界に知れ渡っている「朱鷺(とき)」と共存できる島興しを掲
げ、農業においては、減農薬、有機肥料栽培を掲げ、「生物多様性」をモットーにして、全島
規模で動き始めました。 これを、「ミクロ」の生き物である微生物の世界での出来事として
見れば、「善玉菌」優勢の「蘇生型」環境を取り戻すための対策になっています。「山や里」
においては、有用な土壌菌の繁殖環境造成ですし、河川や海においては、植物プランクトン、
動物プランクトンの増加のための環境整備と栄養分補給と言えるのでしょう。
漁業においては、「わむし」は、孵化したばかりの魚やえび、貝などのプランクトン状の生
き物の「最初のえさ」となる大切な生き物です。 里にあっても、卵から孵る水の中の生き物
も、「わむし」は「最初に口にする」大切なえさです。
ばねを伸ばしてみればわかることですが、元に戻る領域、ひずみを残しながらも戻ろうとす
る領域、伸びきって元に戻らなくなる限界点があることは、子供の頃、経験したことがあると
思います。現在の自然環境は、まさに戻りにくい領域から、戻らない限界点に向かい、急速度
に突入してきています。
これらのことは、佐渡ヶ島を愛し、自然を愛し、ひいては、島民が、悲鳴を上げている「佐
渡ヶ島丸」に乗船していることに目覚めない限り、ボランティア活動だけでは対応しかねるこ
とは目に見えています。 「おひさま にこにこ プロジェクト」は、このことを掲げて、自然
環境問題に取り組んでいます。
おたまじゃくし