地球市民憲章(抄)
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人間の尊厳
私達は今、この限りなく麗しい地球と言う惑星に60億人類の一人として生を受けている。生命あるものの一人として、同胞に対する生命的共感を感ぜずに はいられない。生命科学の進歩は、どうやら全人類は兄弟であるゆえんを学問的に解き明かす事が出来る所まで進んでいるようである。生命あるものは、自己 保存の本能だけではなく自己犠牲を払っても自らを捨てても他者と全体社会への愛を貫く利他性を本質的に備えているものである。
愛とは、相手の為に生きようとする情的衝動であり、相手との共感性・一体性・同悲同喜の情念でありここに人間の一つの尊厳がある。
又、人間は真理を求めて凡てを犠牲にしても止まない知性を自らの生命の核心に持っている。人類の有史以来の多くの諸学問体系は、この人間の持つ英知の 結晶である。
このロゴス(知性)とパトス(情念)の二つの根源的生命の欲求に突き動かされて生きるのが人間の本性であり、ここに人間の尊厳と生き甲斐がある。
又人間の尊厳は、自然を征服する力や、他の生き物達に優る人間至上主義にあるのではなく、自然を敬い崇め、自然と共生し自然の摂理に合わせて生きる生 き方の中にこそあると理解すべきである。
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21世紀の地球的課題
ところが現実の世界の実態はどうであろうか。20世紀は二度にわたる世界大戦を経験した悲惨な世紀であったが、21世紀の初頭に入っても、平和と安寧と隣り合わせに戦争と殺戮は止まず、富と肥満の傍らに貧困と飢餓と劣悪な衛生環境が同居し教育を受ける事は勿論満足な住まいと食にめぐり合えない人々が全人類の過半を占めている。
又、地球と言う素晴らしい惑星は、人間のあくなき物質的豊かさへの欲求と経済至上主義による自然征服により森林は破壊され土壌は汚染し、生態系が狂い持続的な存続が困難になる局面まで追い詰められている。
又、現代文明に於ける物質的豊かさ第一主義・経済至上主義の対極にある精神性の衰退と喪失は、社会の各分野で、異常な非倫理的・反社会的な病理現象をひきおこしている。
世界はイデオロギー対決であった東西二大陣営の政治的・軍事的対立はソ連邦の崩壊により一応は解消したが、勝れた文明史家のトインビーやシュパングラーやハンチントンの予言した如く、近代西欧キリスト教文明は、産業革命を駆使する事により人類に絶大な物質的豊かさと利便さの提供と言う貢献はしたが、今やその限界を見せ始めていると言わざるを得ない。ハンチントンの予言した文明の衝突の時代に入ったと言える。果たして地球と人類を救う事の出来る西洋文明に替わる新しい文明の登場を期待出来るのであろうか。
我々は時代は今、そのような新しい文明の出現を望んでいると考えている。更に言えば、新しい文明を模索し、確立し、それを世界に開示してゆくべき「天の時」である。
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世界を救う事の出来る新しい文明の模索
――日本文明が世界を救う――
サミュエル・ハンチントンの分類した世界の七大文明の中で、今迄主役であった西欧キリスト教文明に替わり、21世紀のこの混乱と多くの困難な解決されねばならない課題を背負って、混乱を収束し、再生への全く新しい方向性を救済をなし得ると考えられる文明はそう多くはないだろう。
イスラム文明・ロシア正教文明は、そのルーツは旧約聖書の思想の範疇の中にあり、西欧キリスト教文明と同根であり、従って期待出来ない。自らを中心に据えつき従えさそうとする華夷思想をもつ中華文明は21世紀の現代にはなじまないと言わざるを得ない。ヒンズー文明とラテンアメリカ文明は、他文明の侵略により壊され形骸化し、今日その独自性は失われてしまっている。我々は唯一日本文明こそ、その候補にあげる事の出来る客観的理由がある文明であると考えている。縄文時代の古代から営々と築かれ、脈々と受け継がれ、独自のアイデンティティーを保ちながら今なお生きいきと生き続け、明治維新のエポックメイキングの困難な局面を見事に克服し太平洋戦後は灰燼の中から立ち上がって世界の奇跡の復興を成し遂げたのは、日本国民の血と汗の努力の成果ではあるが正にこれこそ文明の中に秘められた哲学のなさしめた業であると言わねばならない。
我々はこの日本文明の基層にある人間観・自然観・神観に秘められている哲学の解明と、客観的理論的な万人を納得さす日本文明論の足立の作業に挑戦する。これは日本文明こそが世界を救う事の出来る文明ではなかろうかとの一つの仮説にたった模索であり、困難を伴う作業ではあるがすでに挑戦に入っている所である。
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宣言
- 我々は地球市民としてのグローバルな視点から、又民間人としての立場から、世界平和の維持と普遍的な人類愛と言う課題に向かって挑戦してゆく。
従って政治・行政セクターの国家主権の立場に立ったナショナルインタレストや、産業セクターの立場での自らの企業の利害損得で行動するのではなく、
これらの枠組みを超越し、人類社会全体への無限の愛と、無私のにもとずく社会貢献の哲学をもって行動する。 - 我が地球市民国連は「数は力なり」の命題を掲げ、日本の他のNPO・NGO等の諸団体に呼びかけ結集し連携をもつと共に、世界のNPO・NGOと国際的にも連携し、ネットワークを創って行動してゆく。この連携と言う組織拡大運動は高いハードルが予想される。何故なら多くの個々のNPO・NGOは、皆それぞれが独自の理想を掲げ思い思いの発想に基づき個性的な活動を行っている団体であるからである。
- しかしながら、より大きな課題の解決や、より大きな理想の実現の為には、最終的に国家社会を統治している政治を動かさざるを得ない。政治を動かすのは国民の一票ではあるが、その連携・結集の「数こそ力であり」、諸々の課題の解決と理想の実現と、国家の改革をも可能ならしめるものである。従ってこの作業は至難の業ではあるが、我々はあえて挑戦を試みるものである。
- 人間の本質的にもつ、より普遍的な真理を求める知性(ロゴス)と、より大きな無限の人類愛に向かう情念(パトス)との素晴らしい美質は何人にも心の奥深く秘められているものである事を信じて・・・。
- 我々は地球市民としてのグローバルな視点から、又民間人としての立場から、世界平和の維持と普遍的な人類愛と言う課題に向かって挑戦してゆく。
平成18年4月16日
港区赤坂コミュニティーセンター 第3回市民国連 参加者一同