市民国連 三周年 閉会式 & 宣言文 発表
第一分科会 【 国連とアフリカ 】
報告 カンサス大学 柴田 孝男 准教授
我々、第一分科会では国連とアフリカというテーマで話し合いが行われました。今回は
チーム・アフリカの小林様よりケニアの政治状況が詳しく話されました。ここではケニア
の町を救う為にケニアでは対立をしていたけれども、お互いに譲歩して譲りあいケニアは
内紛に至らずに和解と融和の道を歩むことができました。ケニアはある意味ではアフリカ
では非常に進んだ政治形態を持ったのではないかと思います。また在外ベナン人協会、
高等理事会のエマニュエルさんからは、次のような話がされました。「ベナンでは70年代、
80年代では共産主義の不幸な時代があったが、現在ではベナンでは政権の移譲がスムース
に行われ、民主主義が定着しつつあります。」この分科会に出席された方の約9割の人が
実際にアフリカの地を踏んでおりました。その意味では専門家の集まりとも言えました。
結論的には日本政府のTICADの予算を2倍にする事にたいして、我々一人一人が働きかけて
ゆくことが重要だということでした。
第二分科会 【 国連と環境 】
報告:千葉大学 上村雄彦 准教授
国連と環境という問題を扱いました。現在、地球温暖化という問題が起こっておりますが、
「この問題が、どの程度、深刻なのか、これをおさらいしましょう」ということでした。
そして、それでは何ができるかという事をワークショップ形式で、一人で考える時間、
ペアーになって考える時間、全体でまとめる時間をとりました。やはり地球温暖化と
いう点では、CO2を減らすという意味ではマルンガなどの植林が大切なのではないか
という事でした。そこで山元学校がタイやケニアで実践をされていることを話されました。
具体的な活動をする為の資金創りの点では「グローバル・リッチな人からは航空券通行税
をもらおうではないか」という案が出ました。京都議定書以後、枠組みを括り、一年以内に
やらなければいけないわけです。この点では地球環境税推進機関というのができた。
これは研究者とNGOと政府が共同してやるものです。あと東大の海野名誉教授が再生可能
なエネルギーとして太陽エネルギーの活用について述べられました。
第三分科会【 国連と平和 】
報告:国連協会 伊勢桃代 理事
我々は国連と平和機構について話しあいました。ルアンダ、ボスニア、カンボジアの問題が
語られました。実際にどういう状況にあるのかを詳細に語ってくださいました。紛争には
4つの形態があると思います。平和構築の目的はどこにあるのか。国連の平和構築には
段階があります。ピース・メーキングから、ピース・ビルデングに至る道です。
この方法は段々と包括的になってきております。最近、国連の考え方が変わってきた。
戦争の記憶を無くすことが重要であり、後進国においては自由・民主主義をめざす。
紛争の根本的な原因の除去が重要であると考えます。国連の考え方が変わってきたんですね。
平和活動というのは戦争の記憶を無くすというものではなくなってきたのです。国連では
平和というものについて8つに分類している。それはピース・メーキング、そしてピース・
ビルデングなどです。安全保障は1994年に人道主義的な観点から保護する責任がある
ということです。2000年に出た方策は平和というものを包括的に捉えております。
早稲田大学 林 正寿 教授
私は経済学者、財政学者です。それで必然的にガバナンスを扱っている。ソ連型の中央
集権的な計画経済は失敗するものであり、今日では分権的な計画経済の方が優れていると
いう事が証明されたわけです。国際世界に適応するならば主観的な目標に対しては自分達で
自治してゆくという選択肢がよい。それと同時に国の中でも資源の配分だけだったのですが、
それが資源の再配分という事が出てきました。政府の機能が拡大してゆく中で、国内ほどでは
ないにしても国際舞台で再配分という事も考えなければならないのです。経済は平和の問題と
密接に関係してきますので経済的不均衡であるとかこういう対策も全世界的な規模でやって
ゆかねばならないと思います。ネイション・ステーツを極力生かすということを申しのべ
ましたが、と同時にEUがひとつのモデルではないかと思います。最終的には世界政府と
いう事になるのではないかと思います。
第四分科会【 国連と教育・文化 】
報告:未来草庵 一色 宏 庵主
一色でございます。大月先生から感動的な音楽を聞かせていただきました。大月先生は
お話の中で物事を処してゆく上で、忘れることが大事だ、と申されました。ただ本当に
大事なことだけは忘れてはいけないという事です。琴と尺八の演奏の中に国際的な感動を
与えてきたことに強く共感を覚えました。
青木先生は新体道を始められたわけですが、大井師範が実際に演舞をされる姿はとても
美しいものでした。こういう芸能・文化や武道というものが世界に出て行って大きな
影響を与えるのではないかと思います。これからは芸術教育がとても大事なことになる
と思います。文化の位置付けに関しては共有化された価値、心の価値、精神的な作品体と
いうように呼べるのではないかと思います。結論的には芸術が世界を結ぶという事では
ないかと思います。
第5分科会 【 国連・市民・NGO 】
報告:NPO法人 楽舎 上田 正雄 代表
上田でございます。第五分科会では約40名の方が参加されましたが、全員の方に意見を
述べていただきました。国連と地場産業の育成という事で産業スキームの提示を行い
ました。現在、このテーマに関しては「へそバサミ・プロジェクト」というものに
おちつきました。国連のミレニアム目標のひとつに乳児の死亡率の低下があります。
取分け、アフリカではこの乳児の死亡率の低下というものが重要なものになっております。
この「へそバサミ」は清潔なもので、乳幼児の死亡率の低下に有効であると考えられます。
あとミャンマーでNPOを立ち上げている方から報告がありました。国民同士が交流しあう
レベルから国連が関わることによって新しい段階に入れるものではないかという事でした。
市民国連宣言 佐桑事務次長
市民国連の事務局次長の佐桑です。ここで市民国連の宣言文を拝読いたします。
「市民国連宣言文」
「われら連合国の人民は」(We the peoples of the United Nations)で始まる国連憲章は、
私たち一人ひとりがその「人民」として、憲章に掲げる、国際平和と安全の維持、全ての
人民の経済的・社会的発展という目的達成のために力を合わせて行動することを求めています。
私たちは、ボーダレス化した経済とグローバル化した情報ネットワークの中では、「宇宙船
地球号」の乗組員でもあります。グローバル化した世界には、主権国家と言う枠組みでは
捉えきれない多様なファクター(要素)が関わってきます。私たちは、地球的規模の諸問題
を私たちの住むコミュニテイの問題として、また、私たちの住むコミュニテイの諸問題も
地球的意味を有していることを認識して、対処していくことを求められています。「人民」と
して国連に係わった私たちは、国連諸機関の活動に積極的に参画していく義務があります。
このような考えのもとに,この度改めて,「市民国連フォーラム」を開催し,「国連とアフリカ」,
「国連と環境問題」,「国連の平和構築」,「国連と文化・教育」及び「国連・市民・NGO ネット
ワーク」という多角的な分野での話し合いの場を持つこととなりました。「アフリカ」に
関しては、私たちは内乱や汚職、エイズなど繁栄を妨げる諸要因、特に貧困と戦うアフリカ
市民の友として、共に立ち上がることを決意しました。「環境」に関しては、私たちは
「宇宙船地球号」という運命共同体の一員であることを改めて深刻に認識し、地球的規模
の問題も私たち一人ひとりの問題として行動していく必要性を痛感しました(Think
Globally, Act Locally)。「平和構築」についても、平和の不在に苦しみ、その構築に
様々な形で係わる現地市民との連帯の重要性を改めて認識しました。また、私たちは、
地球市民間の相互理解と増進のためにも、「教育文化」の重要性に注目しました。
これらの全ての分野において、私たちは、「市民社会」(市民、NGO/NPO/CSO)と国連と
のネットワークの構築に努力していきます。
私たちは、今後とも引き続き、地球市民としての連帯を促進し、地球的規模の諸問題の
解決のために、国連と協力していくことを、改めてここに宣言します。
2008 年(平成20 年)12 月23 日(於:早稲田大学)
閉会の辞: 大脇 準一郎 NPO法人 未来構想戦略フォーラム 代表
年末の御多忙のところ御参加いただき誠にありがとうございます。私は3つの事をお話し
いたしたいと思います。
1つ目はグローバルな課題、壮大なビジョンに取り組む事が非常に大事なことであると痛感して
おります。ここにある看板なども、仕事から帰って、2日間徹夜で勤労青年がボランテア
精神を持って完成させてくれました。一色先生にはとても素晴らしいポスターを作って
いただきました。また渡辺和子さんにはジャンヌ・ダルクのようにいくつもの団体を回って、
このイベントに勢いをつけてくれました。この会場運営は、40名もの若いスタッフに支えられ
ています。今回、ニューヨークから駆けつけてくださいましたTICAD国連代表の池亀美枝子先生を
はじめ、多くの先生方が、駆けつけてくださいました。今回の成功は皆様のボランティア精神が
結集された賜物であります。
第2に、実は、今回は当初、某大学で開催の予定でした。開催2ヶ月を切った時点で、大学側から
急に会場を貸さないという連絡が入りました。日頃、教育者、信仰者というものは、心を広く持つ
べきだと思っていますが、教育界、宗教界の人々が、かえって心の狭い人が多いのは嘆かわしい
ことです。それに引き合え、早稲田大学というところは、どこが入り口で、どこが出口なのか
わからない位、開放的で、活気にある大学です。人種の坩堝である米国のように、日本も多文化を
受け入れる度量、寛容さが今、求められていると言えましょう。
第3に、今回、外務省の後援が異例の速さでとれました。勿論、池亀先生が講演される事なども
関係していると思いますが、外務省の目線が変わりました。「Can I help you?」というボランティア
精神で業務をこなしている方が多い。これは日本の希望です。私は43年前、早稲田の理工学部、
この14号館で学びました。その折、仲間と新しい学生運動をスタートさせたのですが、この同じ
校舎で「国連と呼応して市民は何が出来るか」という国際的な次元の運動を出帆させることができた
事を、大変意義深く、光栄に思っています。今回は主にアフリカを焦点に取り上げたのですが、
私の友人が3年前に脳梗塞で倒れ、「余生に何をすべきか」という願をかけて祈祷をし、40日
経っても、何の答えも無かった、そこで40日間を10回やった400日目、突然、天から、「貧困
のアフリカを救え」と声を聞いたという。彼の切なる思いを受けて、小生は、柴田先生にご相談の
お電話を差し上げました。すると何と奥様の池亀美枝子先生が電話口に出られ、ちょうどTICADWの
会議の準備のため国連を代表して日本に帰国されていた時であった。そこで講演をお願いすること
になりました。まだ色々と述べたい事はございますが、本日はこのあたりで話を締めくくりたいと
思います。ご参席の皆様、今日は本当にありがとうございました。
地球市民機構を支えて下さった方々